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無電解ニッケルめっきの硬度完全解説 ~リン含有量と硬度の関係~

無電解ニッケルめっきは、電気を使わずに化学反応によってニッケル被膜を形成する表面処理技術です。この技術の最大の特徴の一つが、優れた硬度特性にあります。一般的な電解ニッケルめっきの硬度が200~300Hvであるのに対し、無電解ニッケルめっきは析出状態で500~700Hv、熱処理後には最大950Hvという高い硬度を実現できます。

この高硬度は、リンとニッケルの合金構造によるものです。無電解ニッケルめっきでは、還元剤として次亜リン酸を使用するため、被膜中にリンが共析し、ニッケル-リン合金層が形成されます。このリン含有量によって、硬度をはじめとする様々な特性をコントロールすることが可能です。

無電解ニッケルめっきについては下記記事でも、紹介しておりますので、ご一読ください。

無電解ニッケルめっきとは?>>>

無電解ニッケルめっきとカニゼンめっきの違い>>>

リン含有量による硬度の違い

無電解ニッケルめっきは、リン含有量によって「低リンタイプ」「中リンタイプ」「高リンタイプ」の3つに分類されます。それぞれ異なる硬度特性を持ちます。

低リンタイプ(リン含有量1~4wt%)は、析出状態で700Hvという高い硬度を示します。これは他のタイプと比較して特筆すべき特徴で、熱処理を施さなくても高硬度を得られるため、熱処理が困難な部品や、寸法精度を重視する用途に適しています。また、はんだ付け性にも優れているため、電子部品への適用も多く見られます。

中リンタイプ(リン含有量7~9wt%)は、最も汎用的に使用されているタイプです。析出状態での硬度は550Hvですが、バランスの取れた特性を持ち、様々な用途に対応できます。特に機械部品への適用では、耐摩耗性と耐食性の両方を求められる場合に選択されることが多いタイプです。

高リンタイプ(リン含有量11~13wt%)も析出状態では550Hvですが、最も優れた耐食性を持ちます。酸性環境での使用や、化学工業分野での部品に適用されます。また、非磁性という特徴もあり、磁気の影響を避けたい精密機器部品にも使用されます。

熱処理による硬度向上メカニズム

無電解ニッケルめっきの大きな特徴の一つが、熱処理による硬度向上効果です。300~400℃の温度で熱処理を行うことで結晶化が進み、硬度が大幅に向上します。

標準的な熱処理条件は400℃で2時間程度です。この条件下で、中リンタイプと高リンタイプは550Hvから950Hvへと大幅な硬度向上を示します。一方、低リンタイプは元々の硬度が高いため、700Hvから930Hvへの向上となりますが、熱処理なしでも十分な硬度を持っているという利点があります。

熱処理温度は重要な管理項目です。300℃程度の低温処理では部分的な結晶化にとどまり、硬度向上効果は限定的です。逆に500℃を超える高温処理では、過度の結晶成長により硬度が低下する傾向があります。そのため、最適な硬度を得るためには400℃前後での処理が推奨されます。

ただし、熱処理を行う場合は表面の酸化による変色が避けられません。外観を重視する製品では、この点を考慮した仕様検討が必要です。また、基材の熱処理温度との兼ね合いも重要で、基材の焼戻し温度以下で処理する必要があります。

最適な硬度の選び方

実際の部品設計において硬度を選択する際は、要求される性能と加工条件を総合的に判断する必要があります。

高硬度が最優先の場合、低リンタイプの無電解ニッケルめっきが最適です。熱処理工程が不要なため、製造工程の簡略化とコスト削減につながります。また、熱処理による寸法変化を避けたい精密部品にも適しています。摺動部品やベアリング、油圧機器のピストンロッドなどの用途では、この特性が大いに活用されています。

耐食性と硬度の両立が必要な場合は、中リンタイプまたは高リンタイプに熱処理を施すことで950Hvの硬度を得られます。化学プラント用部品や食品機械部品など、腐食環境での使用が想定される場合には、高リンタイプが有効です。

コストと性能のバランスを重視する一般的な機械部品では、中リンタイプが広く採用されています。熱処理の有無により硬度を550Hvから950Hvまで調整できるため、用途に応じた最適化が可能です。

特性比較表
リンタイプ リン含有量 析出状態硬度 熱処理後硬度 主な特徴 適用例
低リン 1~4wt% 700Hv 930Hv 高硬度(熱処理なし)、はんだ付け性良好 摺動部品、電子部品
中リン 7~9wt% 550Hv 950Hv バランス良好、汎用性、硬質クロム代替 一般機械部品、ギア
高リン 11~13wt% 550Hv 950Hv 高耐食性、非磁性 化学装置部品、精密機器
※硬度値は一般的な目安であり、処理条件によって変動する可能性があります。

無電解ニッケルめっきがおすすめの場面

無電解ニッケルめっきは、その硬度と均一性から、様々な課題を解決するソリューションとして活用されています。以下のようなお悩みをお持ちの場合、ぜひ一度ご相談ください。

課題・ニーズ無電解ニッケルめっきによる解決策・特性関連する具体的な情報
① 複雑な形状の部品に均一な硬度を持たせたい化学反応で析出するため、形状に影響されず、隅々まで均一な硬度を確保できます。電解めっきでは、複雑な形状の部品(ギア、溝、穴の内面など)に均一な膜厚を形成するのが難しい。
② 熱処理による寸法変化や変形を避けたい熱処理を行わなくても硬度が高いため、寸法精度がシビアな部品に適しています。特に低リンタイプは、熱処理なしで高硬度を必要とする用途に最適。
③ 硬度と耐食性の両方を実現したい腐食環境での使用を想定される部品には、熱処理を施した中リンタイプや高リンタイプがおすすめ。高リンタイプは優れた耐食性を持ち、化学工業分野などでも実績があります。
④ 従来より均一な処理を検討したい硬質クロムめっきに代わる技術として、膜厚の均一性に優れています。硬質クロムめっきと同等の高硬度を得られ、精密部品の機能性向上に貢献します。

弊社では、お客様の製品の要求性能や使用環境に合わせて、最適な無電解ニッケルめっきの仕様をご提案しています。硬度に関するお悩みや、新しい表面処理の可能性について、お気軽にご相談ください。

「大阪めっき・アルマイトナビ」による表面処理事例

製缶架台

製缶架台に無電解ニッケルめっきを施しました。

前処理として、黒皮を綺麗に除去してからめっき処理を行っております。さらに、形状的にめっき液が残存してしまう可能性がある製品については、液抜き穴のご相談をさせていただく場合がございます。

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SS400フランジへの無電解ニッケルめっき|大阪めっき・アルマイトナビ
SS400フランジ

SS400のフランジに無電解ニッケルめっきを施しました。

重量がある部品のため、特殊なめっき治具を製作し、キズがつかないよう丁寧に処理を行いました。

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通信機器向けヒートシンクへの無電解ニッケルめっき|大阪めっき・アルマイトナビ
通信機器向けヒートシンク(ADC12)

ADC12(アルミダイカスト)の通信機器向けのヒートシンクになります。

複雑な形状での被膜を均一につけるために、無電解ニッケルを採用いたしました。

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S45C産業機械プレートへの無電解ニッケルめっき|大阪めっき・アルマイトナビ
S45C産業機械プレート

産業機械向けの約1mサイズの円形プレートに、無電解ニッケルめっきを施しました。

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無電解ニッケルめっきなら旭鍍金工業所にお任せください!

①最大2,000mmまでの大物に対応可能!

当サイトを運営する株式会社旭鍍金工業所(大阪・八尾市)では、最大2,000×1,100×350までの大物部品の処理が可能な無電解ニッケルめっき槽を保有しております。産業機械・装置向けの大物・長尺部品で、高い耐食性や均一なめっき厚、硬度向上が必要でしたら、弊社にお任せください。

アルミ合金については対応可能サイズが450×450×750になります。

②見積・納期即日回答!大阪府内最速納期の自信あり!

長年にわたり多数の大手企業様にご支持いただいている理由は、弊社の対応スピードにあります。お問い合わせいただきましたら、見積・納期を、原則、即日回答いたします。数量や稼働状況にもよりますが、現物を頂いて翌日にはお渡しすることも可能です。

③膜厚計・マイクロスコープによる精度・品質保証

弊社は、蛍光X線膜厚計やキーエンスのデジタルマイクロスコープを保有しております。したがって、「精密部品のため、指定のめっき厚・合金比率を遵守しているか検査してほしい」というご要望にも、問題無く対応可能です。

投稿者プロフィール

旭鍍金工業所 小林
旭鍍金工業所 小林株式会社旭鍍金工業所 代表取締役
株式会社旭鍍金工業所は八尾市に工場を構え、メッキやアルマイトなどの各種表面処理を承っております。昭和22年の創業以来、各種表面処理にこだわり技術向上に努めてまいりました。
業務内容はニッケルめっき、装飾クロムめっき、3価クロムめっき、スズコバルトめっき、無電解ニッケルメッキ、硬質クロム、電着塗装、アルマイト、化成処理(サーテック650)、スズめっき、亜鉛めっき、3価ユニクロ、クロメートなど、表面処理全般にわたり、様々なニーズにお応えいたします。
スタッフ一同、皆様からのお問い合わせをお待ち申し上げております。